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お色気小咄 8



 道後の湯で源敏(みなもとのさとる)という好き者がたっぷりつかっているとき、一人の尼法師が入湯して来た。
上品でなまめかしい、抱きつきたいがそうはいかない。そこでこっそり足を伸ばして、股ぐらとおぼしいあたりをコチョコチョ、尼はびっくりして怒る。

敏はすかさず、
「とても世を よそに古江(ふるえ)のあま小舟 葦のさわりをなに厭(いと)うらん」と詠む。

つまり遠浅の海で、海草とりをしている海女(尼)の舟が、入江の葦(足)に触れたからといって、別に気にすることはありますまい、という図々しい歌だ。

尼さんもさすが歌よみ、半分オツな気分になったのか、
「さらば早(とく) 棹(さお)さし寄せよ世の海の 海松布(みるめ)【食用の海草】をなおも いとうあま舟」と返歌した。

つまり、あたしはもう男を絶った尼。人の見る目(海松布)が大変だから、誰も来ないうちに、棹を私の舟にさしてごらん、というのだから、これはどっちもどっち。

定本艶笑落語 小島貞二編より

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